(昭和43年自宅の庭にて:写真は近藤家提供)
明治23(1890)年11月3日東京・下谷に生まれる。宝生流十六世宗家・宝生九郎知栄(ともはる)に師事。松本長、野口兼資に次ぐ高弟として宝生流の中軸を担い、人間国宝、文化功労者に認定されるなど、宝生流のみならず能楽界の重鎮として重厚な芸質で能を究めた。著書に『さるをがせ』『こしかた』『能 わが生涯』『いぬゐ句集』(以上、わんや書店刊)、『芸の道・人の道』(自由現代社刊)、『能 わが生涯』(「人間の記録」シリーズとして復刻・日本図書センター刊)など。能のほかにも、俳句、俳画など趣味の域を超える才を示した。昭和63(1988)年10月1日逝去。享年97。
平成27(2015)年5月1日87歳で他界したシテ方宝生流能楽師・近藤乾之助は長男。親子二代で日本芸術院賞受賞をはたすなど能楽界に多大な功績を残している。
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昭和42年3月わんや書店から発行された能楽随筆『こしかた』 では、その題字も表紙絵も近藤乾三の手になるもの。小鼓の絵を描いたのは、喜久夫人が室町時代から続く能楽小鼓方大倉流の宗家の出てあることからであろう。夫人の小鼓で一調を勤めたこともあるという。題字も見事だが、とくに絵は、軽妙な筆づかいに味わいがある。(下の写真は表紙の見開き。)
長命であったが、病を得て、晩年は独吟、一調など、謡の素晴らしさで見所をうなさせたという。
著作は多数。いずれにも、芸を貫いた見事な気概と、こまやかな優しさが満ちている。
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